IT MAKES THE DIFFERENCE
MADE-TO-MEASURE UNLIMITED
無限大の MADE-TO-MEASURE (誂え服)
スキャバルは類なき品質と生地の豊富さで世界的に知られているが、 そのブランドは仕上げの手法でも同様に国際的な基準になっている。 即ち、最高品質の誂え服の選択肢は、ほぼ無限大だということだ。
ファッション誌が報じているように、made-to-measure(誂え)のスーツがひとつの流行になっているようだ。父親や祖父の時代には既製服はまだ一般的ではなかったため、誂え服が重視されたのは納得がいく。しかし、近年は既製服市場が爆発的に拡大し、大規模衣料チェーンや国際ブランドが比較的良質な服を手に入れることを容易にしてきた。そんな中で、誂え服が堂々と復活しているのは何故か?各社はこぞって誂え服の「冒険」に乗り出しているように見える。彼自身テーラーの息子である、スキャバルの技術部長Mario Arcuri氏に尋ねた。
インタビュー
Bespoken:既製服が体にフィットしているのに、なぜ多くの男性が誂え服に向かっているのでしょう?
Mario Arcuri:そもそも、既製服は本当にプロポーションが良く、体にフィットしていますか?このレベルでは審美眼が重要ですし、着心地の良さも忘れてはなりません。これらの基準において既製服は誂えには勝てないのです。ディテールでは太刀打ちできない。誂えの世界では「着る人が自分を一番よく知っている」と言いますが、まさにその通り。カスタム服は着る人の贅沢な個人的選択を正確に反映するものなのです。
誂えで注意しなければならない点は何でしょう?
最も重要なのは服のバランスです。上等のスーツは、特にボタンを留めた時に、肩と首まわりで完璧にフィットします。更に、肩幅が重要です。袖は自由に腕が動かせるよう、太すぎず細すぎず快適であること。3番目は丈。既製服のフルレングスを例に取ってみると、3㎝詰めることはプロポーションを壊してしまうため不可能であり、3㎝伸ばすことも無理です。誂えでは、服が完成するまでに、すべての寸法をミリ単位で調整できるのです。
誂えの利点はよくわかりました。それでは、スキャバルを選ぶべき理由は何でしょうか?
スキャバルが優れているのは、高級生地の選択肢が広いことです。何と5000種類の中から選べるのですから。個性的な生地選びには多くのポイントがあります。イニシャルの刺繍、選べる裏地、ボタン、アンダーカラー、内ポケット、そして、多くの型数など200を超える選択肢があります。更に100%ヨーロッパ生産の保証もあります。これ以上何が望めるでしょう?
スキャバルの誂え服で最新の革新は何でしょうか?
年々増えているお客様一人一人のオプションに加えて、ここ数ヶ月間の進展は408モデルが新たに導入されたことです。現代的なカットのおかげで、潜在的な顧客層がぐっと広がりました。
Jérôme Stéfanski
FROM SHEEP TO SHOP
SCABAL AUTUMN-WINTER 2009 COLLECTION
スキャバル2009年秋・冬コレクション
慎み深さ-それは時代の兆候を感じさせます。しかし、スキャバルの冬の新作はこれまでのように高級感が溢れ洗練されています。11種類のクオリティ、300種を超えるデザインから、服作りのエレガンスを極めるための、嬉しい喜びを感じさせてくれる新作を発見していただけることでしょう。
より優しくソフトな冬の素材が店頭に
エレガントな定番のフォーマル生地 “Mandarin”(マンダリン)はスキャバルの2009年秋・冬コレクションを代表するもの。ピュア・ウールにシルクを20%混ぜた200gの柔らかな冬生地で、控えめな光沢があります。また、27種類のうち、カシミヤを5%加えて極上の柔らかさを引き出したデザインもあります。スキャバルのデザイナー、Michael Day(マイケル・デイ)のアシスタント、Nora Kraemer(ノラ・クレーマー)は「本来は夏向けの生地なのですが人気が高く、柔らかさと心地良さを残しながら冬向けにやや重めに、かつダークな感じに仕上げました。ミルド調、起毛タイプなのでその分だけ厚みがあり暖かく、シルクのような光沢も少しあります。」
「パターンは控えめで、落ち着いたクラシックなダーク系。ブルー系とグレー系にトレンドの 、地色と柄の同系色使い配色を取り入れました。目を凝らすと小さなドットがあるのですが、遠目には無地に見えます。」
チェックの復活
もう一つの革新はジャケット地の “Loch Tay”(ロック・テイ)コレクションです。ソフトで美しくカシミヤのようなこの340g生地は100% スーパー150’sウールで、高級感のある27デザインがあります。「スーパー150’s使いの高級ジャケット地が最近良く売れており、より広い幅を持たせるために新しいコレクションを創りました。名前から判るように自然な色彩とチェックが揃っています。」とNora は言います。
チェックの人気が復活しています。”Loch Tay”にはシェパーズ・チェック、ウィンドウ・ペーンのオーバーチェック、クラシックなグレンチェックをやわらかいコントラストの落ち着いた暗いめの色でまとめました。
「この冬生地は一見重い感じに見えますが、実際に着ると意外に軽く着心地が良いのです。それは非接着芯を使って快適な着用感が得られるよう、服の内側を特別に柔らかくしているからです。」 2009秋冬コレクションの中で、最高級のスーパー150’sウールといえば、“Toison d’Or” (トワゾン・ドール)があります。繊細なデザイン構成の高品質は、時代に左右されないクラシックな伝統が生きた、驚くほどエレガントな流れを生み出します。
“Toison d’Or” には2種類の品質があります。縮絨加工なし、260gのすっきりとした通年着用できるものと、スーパー150’sにカシミヤを10%ブレンドし、軽く縮絨又は起毛した280gのヘビーで暖かいタイプ。いずれのタイプもデザインは落ち着いたダーク系で、エレガント。ストライプの中には、なめらかな表面の「サテン織」もあります。これにより控えめなストライプの良さが引き出され、生地にエレガントな雰囲気が高まります。37種類の中には、ファンシーなクラシック・チェックや、洗練されたシャドーストライプがあります。
名前に秘められたもの
キャビアやロブスターを出す5つ星レストランも、時には家庭料理を供することもあります。それは好みとタイミングの問題。2009年冬の中間ラインのウールのスーツ・コレクションが “Just in Time”(ジャスト・イン・タイム)と名付けられたのはこのためで、洗練された高級生地と並行して、よりベーシックで耐久性の高い生地を提案するのに丁度良いタイミングだったのです。
基本に返る
4つめの新作は”Just in Time”。320gで中~低価格帯のピュア・ウールの高級スーツ地。縦糸、横糸ともに2プライで、日常使いに最適な丈夫さと耐久性があります。
「”Just in Time”は『基本に戻る』というトレンドに沿っています。困難で不安な時代には、人々は新しいものを試すのではなく、既に知っていて信頼できるものに戻っていきます。”Just in Time”は目新しくはないかもしれませんが信頼できる上質な生地です。全体を英国らしいチェックや控えめなピンストライプなどクラシックな柄でまとめました。
STUDENT JOB
REMEMBER DALI
ダリに思いを馳せて)
スキャバルはサルバドール・ダリの没後20年を記に、 London College of Fashion (ロンドン・ファション・カレッジ) のビスポーク・テーラリングの 学生達とのコラボレーションのもと、野心的なプロジェクトを立ち上げました。
記憶に残っているかもしれませんが、前号のビスポークンで、スキャバルとロンドン・ファッション・カレッジの学生がコラボレーションする、意欲的な国際的プロジェクトを立ち上げ予定であるとお知らせしました。ダリが1971年にスキャバルのために創作した12枚のリトグラフがそのインスピレーションで、それらは21世紀の男性とファッションに対する芸術家の見解を表現したものです。その意欲的な目標はダリの作品をスタート地点に、ビスポークテーラリングの原則に従ったガーメント・コレクションを作るというものです。スキャバル、テーラリング&技術プログラム総責任者である Alan Cannon-Jones (アラン・キャノン・ジョーンズ) そして20名の生徒が、スキャバルの生地だけで作られたコレクションに魂を吹き込む手助けをします。同時に、スキャバルは12枚の原画をインスピレーションに、新しいダリの生地コレクションを創りました。
スキャバルの販売部門責任者、Neil Hart (ニール・ハート) への5つの質問
Bespoken: 新ダリコレクションのインスピレーションの源は?
NEIL HART : 1971年にダリが私達の依頼で特別に創作した、スキャバルが所有する12枚の絵と最初のダリコレクションの成功です。
新コレクションは前のコレクションとどう違うのでしょうか?
今回は12デザインではなく24デザインあります。12枚それぞれの絵に対して2種類ずつ。また、ストライプと大胆な色使いがより強調されています。
どんな種類の生地が使用されていますか?
新作は300gで前回より20g重くなっており、これは各国のお客様からの要望にお応えしたものです。
ターゲット層は?
日本、北アメリカ、イギリス、ロシアのアバンギャルドなテーラーの方々とお客様や、イタリアやドイツの厳選されたお客様に焦点を置いています。
最近の積極的な動きは評価されていますか?
はい、お客さま方は常に新しいアイディア、新しいスタイルや人目を引く生地を求めていらしゃいます。
詳しい情報とプロジェクトの様子の映像は、 HYPERLINK "http://www.dali.scabal.com" http://dali.scabal.comでどうぞ。
Jérôme Stéfanski (ジェローム・ステファンスキ)
IN PEOPLE WE TRUST
我々は家族
収益や存続やイメージへの全体的貢献度で経験あるスタッフを企業に繋ぎとめることの、対企業価値を過大評価するのは難しい。
一丸となって仕事に取り組んできたチームの好例としてスキャバルの営業部を取材した。
(写真)
スキャバル社の営業部。Luigi Manzone, Chantal Lambert, Christa Jacobs(後列)、Ana Cordeira(前列)、Muriel Vanhamme、Patrick Oderno
確かに一部のスタッフを引き止めることは不可能かもしれないが、スキャバルは社員の定着を大切にし、誇りにしている。平均勤続年数25年を誇れる会社はそう多くはない。社員をグループに引き止めておくことはスキャバルにとって大切だが、スキャバル自身も家族的な環境作りをしなくてはならない。 Gregor Thissen (グレゴー・ティッセン)CEOは言う。「グループの中に家族のような感覚を生み出し、維持してきたことは弊社にとって貴重だ。」
営業部
家族の感覚は営業部に如実に現れている。中心となって働く6人は、活発に幸せに働くうちに年月が流れるという生き証人だ。彼等の経験を合計すると157年にもなるというのはまさに驚きである。 たった21年の経験しかない「若手」のLuigi Manzoneはチームを「ジュラシック・パーク」に例える。一部署にある情報量の凄さを言っているのだが、スキャバルが顧客にしっかりとしたサービスを効率よく提供できるのはこのためで、製品の品質に相応しいサービスなのだと言う。 これがスキャバルのビジネス哲学の核心である。高級品に見合う上質なサービスというコンセプトがスキャバルの考え方において何よりも重要であり、顧客にとって最初の寄航地となる営業部は企業活動の要である。
ティッセン氏は更に「我々が製品に誇りを持つのと同様に、我々が提供するサービスも大切にしなければなりません。その意味で、スキャバルで働く社員はこのプロセスの不可欠な重要部分なのです。」 しかし、社員の働きを保証するのは勤続年数だけではない。チームを構成するのは個々のメンバーだ。ブリュッセルの本社で働く120名のスタッフで言えば、19の部署に分かれ、国籍は11ヶ国に及ぶ。営業部はグループの国際性を物語っている。
人間が第一
最も経験あるメンバーは勤続41年のAna Cordeiro。ポルトガル出身で、アルゼンチンやトルコなど様々な市場を担当してきた彼女は営業部の家族的な雰囲気をみなぎらせている。長年スキャバルに勤められたのもこの雰囲気があるからだと言う。ここで働くことが楽しいと言うスタッフ全員の共通した指摘である。 しかし、理由は他にもある。勤続19年のChrista JacobsとMuriel Vanhammeは母国語を仕事に使えるのがいいと言う。この国際性(チームは7ヶ国語を使う)と毎日の仕事の多様性が彼等にとって大切であり、彼らが一丸となってロシアから東南アジア、更には日本の顧客まで対応できると言う。 この見解にはChantal LambertとPatrick Odernoも異論がない。地理的に異なる市場を担当する彼等は、日々変化する仕事を楽しんでいる。チームの前提条件は同じでも、顧客からの照会はそのたびに違う。営業部が関わるあらゆる事柄を支配するスキャバル哲学は、高級品にはそれに見合う上質なサービスが必要だという考えに基づく。チーム精神と同様、この点は営業部と話をすればすぐ判る。彼等は職場での役割や労働環境について意見を求められると概ね同じ答えが返ってくるのだが、それは上からの命令であったり受付に掲げられている社訓であるわけではない。彼らが純粋にそう感じているのであり、企業哲学に心から賛同し信じ切っているのである。
「我々が積極的なサービスを提供すると、顧客から積極的な反応が帰ってきます」とPatrick Odernoは言う。
しかし、本当の家族と同様に、構成員は個人である。スキャバルの社員は共通の精神構造と業務プロセスをもって一流のサービスを提供しているのだが、仕事を離れるとめいめいが多様な生活を楽しんでいる。乗馬、料理、刺繍、バイク乗りを楽しむ人もいれば、Luigi とChristaのように二人ともサッカー(football)のファンであることもある。Christaのベルギーサッカー(Belgian soccer)熱が彼女を孤立させるのが問題だが。
一番好きなラインをひとつ挙げよと言われて全員が別々の答を出すという点では、個人の好みが職場に入りこんでいる。Luigiはサヴィル・ロウの雰囲気を伝えるNo.12のスーツとジャケット、Anaは「ラピスラズリ」の生地、Christaは「ダリ」のスカーフ、Murielは「カプリ」の生地、Patrickは複雑な「ゴール
ド・トレジャー」、Chantalは「ビキューナ」の贅沢感が好みである。
通信手段が電話でもファクスでもインターネットでも、顧客との延べ157年の経験は顧客にとっても会社にとっても貴重な資源である。忠誠心と徹底して理解された企業哲学のおかげで営業部の雰囲気と労働倫理がある。スキャバルの家族的な雰囲気はこれからも続いていくに違いない。
A FAMILY WITH VISION IN EUROPE’S CAPITAL
欧州の首都の先見性のある同族会社
同族会社を3世代にわって維持するにはどうすればよいか?
価値観を守り、品質では一切妥協せず、独創的なマーケティングを展開する。 今回は、ブリュッセルの一流紳士服店De Vlaminck を紹介しよう。
ブリュッセルのウォータールー通りにあるDe Vlaminck紳士服店は落ち着いた高級店だが、初めて店内に入ると他の老舗と何ら変わらないように見える。しかし、さっと見ただけではわからないものがある。2階の事務所でJacques de Vlaminck氏と親しい会話を交すと、これはただのの同族会社ではないと思える。なぜなら、最も重点を置く誂え紳士服は、大規模な国際マーケティングに支えられたおしゃれなイタリア既製服ブランドに押されて、数年前に消えていたはずだ。しかし、De Vlaminckの誂え服は先見性のあるマーケティングと完成度の高いカスタム化を武器に今も生き残り、人気を博している。
提携事業
De Vlaminckの成功は、一部には、スキャバルとの提携により生地の品揃えを広げ欧州のカスタム化された生産設備を利用したことによる。確固たる価値観を持つ2社が将来の運命を共にしようとするとき、製品は高度なものになる。品質と完成度の「二乗」である(personal)2はDe Vlaminckとスキャバルの合作である。
(personal)2ロゴのもとで販売される服はDe Vlaminck専用のデザインであり、この提携関係が両社の利益につながる。
ロゴが示す「二乗」は単なる記号ではなく、提携が双方のブランドイメージを強化する。価値観と展望を共有する一流サプライヤーと組むことにより、De Vlaminckは誂えの概念を刷新し、顧客層を拡大した。「誂えは他では手に入らないものであるため、顧客の忠誠心が強化されます。それが弊社のニッチ(=特定分野)であり、同族会社として服作りを100年以上続けてきました。このようなサービスを他社が提供するのは難しいでしょう。スキャバルの生地と生産技術を利用できるようになり、既製服のような手軽さと価格で完成度の高い紳士服を提供できるようになりました。」
想像力
この市場のとらえ方は意外ではない。この一族の血筋である。1958年にブリュッセルで万国博が開催された年に、ジャックの父親ハリーが誂え服の店を開いた。現在社屋があるウォータールー通りを選んだが、当時まわりに店は一軒もなかった。旧市街が望める最高の立地であり、市内環状道路のトンネルと大規模駐車場の工事が進んでいた。「駐車場が出来るのなら必ず人が来る」と父親が言ったのをジャックは覚えている。父親は正しかった。やがて高級店やクチュール店が次々と出店し、ヒルトンが建設され、この地区は一流ファッション街に変貌した。
若者をカスタムの世界に
若者への対応はどうか。消費者ニーズに合わせるDe Vlaminckの賢明な製品マーケティングは若い世代を誂えに引き寄せている。
計画は「665」と呼ばれる。6種類の最新生地、6種類の若いスーツ・スタイル、5つのカスタム・オプション(裏地、衿、ボタン等)の中から好きなものを手頃な価格帯で選ぶ方式である。「665」は28才以下限定である。
これはいかにも教科書的なマーケティングである。既存の顧客には付加価値のあるユニークなサービスを提供して客離れを防ぎ、若者のニーズに魅力的な価格で応えることにより新規顧客を獲得する。 「弊社は既存客に対しても積極的に取組み、シーズンに2度メールを送ります。まず、誂えのビジネス服の新素材を紹介し、2ヶ月後に誂えのくつろいだジャケットを紹介します。イノベーションとオファーを巧みに調整することにより顧客の関心を維持するのです」とDe Vlaminck氏。
柔らかな手触り
将来、De Vlaminckのマーケティングはどこへ向かうのだろうか。短期的にはベルギーの顧客には、ふたつのはっきりとした傾向(いずれもフォーマル指向)が見られると言う。
「仕事用にはビジネスライクなスーツが復活しています。つい2~3週間前、一人の顧客が、彼が勤めている銀行が、仕事ではスーツに白のワイシャツを着用、という社内規定を通達したというのです。明らかに金融危機に反応して厳しい規律を求めているのでしょう。カジュアルウェアでも、セーターを着ていた顧客がドレッシー指向を強め、柔らかく着心地のよいジャケットを求めています。」
「長期的には、軽く洗練されたソフトな生地への指向が強まるでしょう。上質のウールやカシミヤです。豊かさの感覚とでも言うのでしょうか。ベルギーでは光沢のある生地への需要はあまり高くなく、光沢より柔らかさが求められます。」「もう一つのトレンドは無地風の柄と、地味なダークカラーのスーツです。お客様はシャツやネクタイなどの差し色で独自性を楽しむのでしょう。例の銀行は別ですけれど、、、」
Nigel Bishop
SPRING-SUMMER 2010 TRENDS
UNDER THE BRITISH SKY
A FAMILY WITH VISION IN EUROPE’S CAPITAL
ヨーロッパの首都にある先見性のある同族会社
2010年夏のワードローブで目新しいものは?
スキャバルのデザイン&製作部門ディレクター、マイケル・デイに生地について、販売・製品部門ディレクター、オリヴィエ・ヴァンダー・スロックにスタイルについて聞く。
生地
チェックの復活
Bespoken:スキャバルの2010年夏コレクションで最も革新的なものは何ですか? デイ氏:まず、いちばん夏らしいのは “Riviera”(リヴィエラ)です。この人気コレクションはリネン、ウール&リネンブレンド、シアサッカーストライプ、綿25%シルク25%で35種類の品揃えです。サマーチェックの中には大胆なデザインもあります。冬のコレクションからチェックが大々的に復活しています。 次に、従来のモヘアを高級モヘア・コレクションに刷新しました。 キッドモヘア35%の伝統的なイングリッシュ・モヘア地 “Mercury Bay”(マーキュリー・ベイ)と、キッドモヘア60%のとても柔らかい高級生地 “Montego Bay”(モンテゴ・ベイ)がクラシック柄、ストライプ、無地で展開されています。 スキャバルのスーパー140’sと150’sについては?
スーパー140’sウールの新作 “Appeal”(アピール)を67種ものデザインで、しかも、他社に負けない価格で提供できるよう努力しました。ライト、ダーク、クラシックのカラーを網羅した完璧なコレクションで、好調な販売を期待しています。
美しい姿
更に高品質を追求すると “Perception”(パーセプション=知覚・見識)がある。240gと250gのスーパー150’sを35種のデザインで展開。Bowater織のモダンで非常に美しい生地です。Bowater織はダークな横糸と明るい縦糸で織るのが伝統で、キラキラ反射する強いカラーコントラストが特徴的。 “Perception” は特別に見栄えのするコレクションです。
ナノテクノロジー
コレクションに使われている先端技術はありますか? もちろんです。”Monza”(モンザ)は世界的なベストセラーですが、新たに特殊な仕上げの “Monza Pole Position”(モンザ・ポール・ポジション)を発表します。モータースポーツのファンはその意味がわかるはず!これはナノテクによる特殊仕上げです。防汚、撥水機能により高湿度でも清潔な外観を保つのみならず、服の仕立てがより安定し容易になるのです。 “Monza Pole Position”はスーパー100’sの人気を更に高めるでしょう。
2010年夏のジャケット地については?
ジャケット地では3つのトレンドがあります。ソフトで控えめなクラシック・チェック、無地風のデザイン、大胆なチェックです。新作の “Mosaic”(モザイク)ラインには、新鮮な光沢で評判のウール&シルク生地 “Nobility”(ノビリティ)が含まれています。光沢のあるシルキータイプは人気が低迷していましたが復活の兆しがあり、スキャバルでも派手すぎず、強すぎず、ニュートラルな雰囲気のチェックと無地ライク(遠目には無地だが近づくと柄がわかる)の新作を作りました。絹ならではの光沢により、無地でもドレッシーなジャケットに仕上がります。
目新しさのあるカラフルで軽いヤーンは?
かつては “Image” (イマージュ)がありました。プルーネラ織のスーパー100’sクオリティとしてよく知られています。しかし、今スキャバルでは41デザインのコレクションを再び展開します。そのうち約20%が “Solaro”(ソラロ)ルック、即ち、互いにバランスを取り合うカラフルなファンシーヤーンをツイルに織った「紳士然とした」ルックです。クラシックとセミファンシーのデザインをバランスよく取り合わせたコレクション。そして、最重要で最大のコレクション、スーパー100’sの “Royal”(ロイヤル)に到達します。名前が示すとおり、95品番から構成される定番で、お客様は必ず気に入ったものを見つけることができるはず。価値に見合う素晴らしい生地です。最後の “Zenith”(ゼニス)は、柔らかく高級なスーパー180’sにカシミヤを加えた新作。この生地は以前からありましたが、新たなコレクション展開の要望を受けての登場です。今までにない明るい色合い、セミファンシーデザイン、きれいなチェックが多数揃っています。
カットとカラー
ソフトで軽いテーラード
Bespoken:本物志向の男性の来夏の装いについてお聞かせください。 Olivier Vander Slock(オリヴィエ・ヴァンダー・スロック):英国調が戻ってきました。スーツ地には幾つかのトレンドがありますが、英国調の復調が著しい。生地デザイナーはイタリア人までも、2010年に英国調を打ち出しています。英国風のスタイルは伝統、古典、フォーマル、時代の超越、格式の象徴としてバーバリー、ダックス、オースティン・リード等のロンドン・ブランドが長年主張してきたもので、生地の組成や組織のみならずパターンやデザイン(クラシックなウィンドーペーン、チェック、ストライプなど)にも通じるのです。
選択肢の多いジャケット
一方、ジャケット人気も高まっています。ウィークデーにはクラシックなトラウザーを合わせ、週末にはジーンズに合わせて着こなすのですが、ここでも英国調が!ジャケットはその時の気分により自由に着回せるアイテムです。
ジャケットは肩の力を抜いて着る傾向があるため、カラーの遊びが楽しめます。ジャケットもスーツも裏地で個性が出せますが、外見上スーツはやはりフォーマル。ジャケットは必ずしもフォーマルでなくていい。カラフルなジャケットの人気が2010年夏のコレクションにも反映されています。
スキャバルの2010年夏コレクションは5つのカラー・テーマがあります。 ミント:ペール・グリーン系とブラウン系。涼やかなリネン、コットン、ウールのミックス。 パステル・オレンジ:グレー、ブラウン、ダークブルー系のチェックとストライプにアクセントのオレンジを加えて夏らしいさわやかさを演出。
ネイビー:スカイブルーとブラウン。ネイビー地に白ストライプの100%シーアイランド・コットンはいかが?スーツでも、ジャケットに白のトラウザーを組み合わせても良し。 ピンクとグレー:クールな白とピンクのシアサッカー・ジャケットなど、スーツとジャケット用。 オークル:エレクトリック・ブルーやダーク・グレーに合わせて、グレンチェック、ウィンドーペーン、空気感を持たせて織った、涼しい着心地の生地。春や初夏の気候にぴったり。 更なる柔らかさを求めて 今日では多くの顧客が生地の柔らかさと快適さを求めています。これは世界的な傾向であり、スキャバルの生地やスーツの新作コレクションにも現れています。もちろん、伝統的なフォーマル・スタイルを求めるお客様もおられるため、スキャバルでは芯地もソフト、ミディアム、ハードといった種類を用意しています。こうしてお客様は自分に合った服を作ることができるのです。また、芯地には接着式と非接着式があります。接着式は安定性が高く、しっかりとフィットした仕立てになる。一方、非接着式では服地がキャンバス上に緩く乗ります。スキャバルの標準仕様はラペルまで完全接着式でしたが、現在は100%伝統的ではない服作りをしています。前身頃は接着し、ラペルは縫いつけることにより、きれいにロールした形になる。 カットに関しては、トラウザーはスリムなまま、ジャケットも2009年の丈で、2ボタンの幅広ラペルです。スキャバルでは来年ヨーロッパで初めて「段がりの3ボタン」スタイルを発表します。3ボタンはイタリアではまだ流行っていますが、イタリア以外では2ボタンが標準です。スキャバルの「段がえりの3ボタン」では、ラペルが一番上のボタン上に折り返ります。また、肩のカットは、かっちりとした細身タイプと、柔らかなタイプの2通りがあります。
スキャバルの personalization(個人化)
コレクションはお客様一人一人のご要望に合わせる可能性を示したもの。
メニューをお見せして、アラカルトでご注文をいただきます。
Nigel Bishop
PAST-PRESENT-FUTURE
MIRELLI GOES SLOVAK – OBAMA BETS ON BLACK
ミレリがスロバキア・キャンペーンを展開。オバマは黒に賭ける
ブラチスラバ(スロバキア)とワシントンD.C.を取り込み、北京とスイスを経て、スキャバルが全世界にイニシアチブを仕掛ける
マルコ・ミレリ(MARCO MIRELLI)がTOMĀŠ MAŠTALÍRを起用
ブラチスラヴァの紳士服店マルコ・ミレリがスロバキアの人気俳優Tomas Mastalirをブランドのアンバサダーに起用した。最新の春のキャンペーンでは、ミレリが誂え服を作る社会的活動の場 - 即ち、公式又は非公式なビジネスの場、カジュアル、社交、結婚式など - を想定している。どの写真にもMastalirの傍に女性がいるが、彼女はミレリのイメージ・コンサルタントMiriam Lisová Marcinekováで、夫と共にグループの過半数を所有している。スキャバルの上顧客の大胆且つ独創的な広告キャンペーンである。
ザ・スワンクがグランド・オープン
香港の高級ファッションハウス「ザ・スワンク」が、中国本土初のフラッグシップ・ストアを北京のJinbao Place Shopping Centerに出店したと発表した。スキャバルをはじめとする世界の一流ファッションブランドを一堂に集める「ザ・スワンク」は年初に北京で「ブレーキング・オブ・コクーン(繭を破る)」と銘打ったファッション・パーティを開催した。これに先立つファッションショーには500名を超える招待客と70のメディアが集まった。欧州のファッションブランドが多数参加した懸賞には、スキャバルのN°12の誂えスーツも含まれていた。
DER GROSSE KATE
スキャバルは2009年製作の映画Der groβe Katerの中でスイスの人気俳優ブルーノ・ガンズ(Bruno Ganz)が着る服を提供している。原作はスイスの現代作家トマス・ハーリマン(Thomas Hürlimann)の小説。監督は著名な映画監督ウォルフガング・パンツァー(Wolfgang Panzer)。 スキャバルのギフト券 スキャバルが初めてギフト券を導入する。期待通り、それは完全にカスタマイズされたもので、スキャバルの全世界の在庫リストから注文できるという優れもの。ギフト券の金額は制限がなく、顧客の一存に任せられる。ギフト券はスキャバル製品なら何にでも交換可能(誂えのスーツ、雑貨、プレタポルテなど)。ホリデーシーズンのために心にとどめておこう。
オバマ氏が “Eton”(イートン) と “Fanfare”(ファンファーレ) をセレクト
オバマという名前が一切書かれていない雑誌を見つけようなんて、本気? もちろん、アメリカのオバマ大統領のこと。1961年のリンドン・B・ジョンソン大統領以来、歴代のアメリカ大統領はワシントンD.C.の高級店George de Parisで服を誂えてきた。スキャバルは大統領ご本人用に2着の生地をこの紳士服店に納品した。時の人は着心地と凝ったスタイルを重視し、 “Eton” (イートン) スーパー130’sの黒と、“Fanfare” (ファンファーレ) スーパー120’sの紺を選んだ。スキャバルオンラインのファブリック・カタログに掲載されているスキャバルの全製品の中から、大統領のように、 “Eton” “Fanfare” を選んでみてはいかが?
ハンドメイド
権威ある出版社テクタム(Tectum)の新刊は世界の高級品に捧げられる。Handmadeという本は2009年末に出版予定であり、初版発行部数25,000部である。3つの言語で出版され、書店、ギャラリー、インターネットで販売される。Delvauxの皮革製品、Santoniの靴、Steinwayのピアノ、Glanshutte Originalの時計と並んで、スキャバルは12ページにもわたって解説されている。
ニコラス・ジョーンズ(NICHOLAS JONES)がモバイルに進出
マンチェスターの得意先ニコラス・ジョーンズが、英国の道路や高速道路を走るのに適したゴキゲンなFiat 500を製作した。なんと、このクルマはスキャバルの “Triple A” (トリプルA) スーパー120’sとカシミヤのスーツ地で覆われているのだ。「ブランドの宣伝効果があるだけでなく、注文を受けたり、完成した服を届けるのに利用すれば素晴らしい顧客サービスになり、お客様を喜ばせるのです」とジョーンズ氏。クルマはソーシャル・ネットワーク・サイトTwitterにも登場し、日々の動きを追うことができる。
スキャバルとDelvauxの出会い
高級誂え服が「N°12 BY SCABAL-DELVAUX」に この秋、スーツと皮革製品を組み合わせた高級紳士用品ラベル「N°12 BY SCABAL-DELVAUX」が発表される。これは単なる新コレクションではなく、一流品好みの男性を魅了する厳選アイテムを集めたものである。世界の一流、贅沢さ、職人芸、本物志向、常識といった価値観はスキャバルにもDelvauxにも共通しており、いずれもブリュッセルに本社がある。過去70年にわたりスキャバルは世界の紳士服業界に高級生地を供給してきた。スキャバルは自社ブランドを増やし、カスタマイズ市場にも進出してロンドンのサヴィル・ロウにも出店した。一方、Delvauxは世界に名の知れた皮革製品の老舗である。創業は1829年にさかのぼり、現在は新作コレクションを限定販売している。
両社の代表が高級皮革製品と誂え紳士服について協議を重ねた。あらゆるものを手に入れた男性は更に何を求めるのか?彼等の期待の高さは?結論は、恐らく上質の皮革ときれいな色を求めるだろう。ブリーフケースやウォレット、丁寧な細工の皮革製品には完璧な仕上げを求めるだろう。更には、すべてのアイテムが手作りされ完璧に個別化されていること。イニシャルを入れるのはその第一歩だ。言うまでもなく、N°12 BY SCABAL-DELVAUXは誂えの紳士服も含む。誂えの厳しい伝統に従い手縫いされたコレクションはスキャバルの極致でもある。N°12のスーツは自然な現代的エレガンスの象徴であり、現代の快適さと誂えの専門技術を完璧に一体化させたものである。「ビスポークとカスタマイズには驚くべき潜在力がある」とスキャバルのCEO Gregor Thissen (グレゴー・ティッセン氏)は言う。「また、スキャバルとDelvauxは共通点が多く、この種のコラボレーションは弊社の戦略にも合っている。業界にとって始めての試みだが、両ブランドを更に成長させるだろう。」
共同ブランドN°12 BY SCABAL-DELVAUXはこの秋に発表され、アントワープのDelvaux店とロンドンはサヴィル・ロウ12番地のスキャバルのフラッグシップ・ショップ、その他の特別イベントにお目見えする。Bespokenの次号で更に詳しくお伝えする。
Jérôme Stéfanski
Veele Windels