A Scabal initiative to promote a tailor-made lifestyle

Download Japanese translation

14

違いをもたらす

ラベル:スーツのIDカード

スキャバルは着分用に毎年15万枚を超える織ラベルを作っています。ラベルが伝えようとするのは何?どこで作られているのか?何故それほど重要なのか?この質問に誰よりも的確に答えられるのは勤続40年の管理部門取締役 Maurice Gillet (モーリス・ジレ) と、その右腕Marianne De Greef (マリアンヌ・ドゥ・グレフ) 以外にはいない。

Maurice Gillet は手際の良い人物。スキャバルのラベルについて聞こうと彼に会うと、まず辞書を持ち出し「ラベル」の箇所を指し示す。そこには、「製品又は物の上に置かれ、表面に貼付される、図や文字のついた紙片やプラスチック片」とある。スキャバルのラベルのための定義!

スキャバルのラベル-何から、どこで、どんな素材でできている? 「ラベルの役割は服に使われている生地の品質についてお客様に情報を提供することです。」と Marianne De Greef は言う。生地のラベルには4つまでの情報が加えられる。 使用されている原材料:カシミヤ、絹、麻、綿など、コレクションの名前:”Summit”(サミット)、”Gold Treasure”(ゴールド・トレジャー)、”Diamond Chip”(ダイヤモンド・チップ)、”Lapis Lazuli”(ラピスラズリ)など、原産地:英国製など、そしてスーパーファインウールの等級:スーパー150’s、スーパー180’sなど(これはウール繊維の品質、繊維の長さと細さに関する)。ラベルはすべてヨーロッパ製のサテンで、徹底して「メイド・イン・ヨーロッパ」。ラベルはドイツのザールブリュッケンにあるスキャバルの縫製工場で作られる各製品の内側に縫い付けられるほか、スキャバルの生地を注文してくれるテーラーにも送られます。

インタビュー

Bespoken:毎年何種類の違ったラベルを作るのですか? Maurice Gillet と Marianne De Greef :コレクションごとそれぞれのラベルがあります。毎シーズン約15の新コレクションをデザインしますから、年間では約30の新ラベルを作ることになります。合計すると年間15万枚になります。 誰がラベルをデザインするのですか? スキャバルのデザイン&クリエーション・ディレクター、Michael Day (マイケル・デイ) とアシスタントのNora Krämer (ノラ・クレーマー) が、彼らが創った新作生地についての要望を私たちに伝え、生地の特長と、時には耳の色によって、ラベルをデザインします。 これらの要素を融合させて同系色のカラーコードを作り、調和のとれた個性溢れる組み合わせで表現します。 ラベルの主流は? 大きくふたつのカテゴリーがあります。四角い青ラベルは定番生地用、大きな長方形のラベルは “Summit”、”Diamond Chip” (ダイヤモンド片を加えたスーパー150’s & シルク)、 “Gold Treasure” (22金を加えたスーパー150’s) などの超高級生地用です。 ラベルはどのように進化を遂げてきたのですか? 品質の追求により技術的な改良を経てきました。今日、ラベルはすべてサテン製で、テーラーが縫いつけやすいように事前にカットされレーザーで仕上げられています。ラベルの見せ方を改善する目的で最近新しいプロジェクトをはじめたところです。 以前はテーラーに送る生地に取り付けるだけでしたが、ラベルと生地の詳細をつけた、高級紙を使ったリーフレットを創るプランを進行させており、2009年中に提供できるはずです。

21

羊からショップへ

スキャバル2009年春夏コレクション

スキャバルのデザイン&クリエーション・ディレクター、Michael Day に

2009年春夏コレクションについて聞く

世界中のシャープな男性が今シーズンに選ぶ生地とデザインを見てみよう

生地

型にはまった?面白みがない?堅苦しい?重苦しい?とんでもない!最高級のメンズファッションは大きなトレンドの波に乗っている。

ドレスダウンによりお金をかける 新型が旧型より高級化される車と同様、高級メンズカジュアルウェアも常に進化している。2~3年前までは高品質のウール&コットンで満足する人がほとんどで、よりカジュアルな装いはあまり注目されなかった。ところが現在はラグジュアリーなカシミヤ&シルクが大人気。洗練され、かつリラックスした装いが求められ、それは週末に限らない。「流行を先取りしすぎたり、遅れたりすることもありますが」とマイケル・デイは認める。「今回は、カジュアルウェアの高級化指向が強まるなか、スキャバルは丁度いい位置にいると思います。」

高級品のカジュアル化

「スキャバルは2シーズンほど前からカジュアル・コレクションの充実に努めてきました。2008年春にはカシミヤ&コットンの生地をスーツ、パンツ用に発表しました。売上は順調で、2009年には更なる成長を見込んでいます。既に2010年春夏コレクションに着手しており、スーパーファイン・コットンにカシミヤを超える高級ヤーンをブレンドします。カジュアルが高級化し、今では高級品がすべてカジュアル化しつつある感じです。」とデイ氏は語る。品質の高級化は夏のカジュアル服に限ったことではなく、2008年冬にはカシミヤコーデュロイ(カシミヤ10%、コットン90%)のコレクションを発表している。

時代の反映

世界各地で高級市場に落ち着いた雰囲気が感じられる。スポーツカーの世界でも落ち着いた色が好まれ、赤や黄色は売上が伸びない。洋服の世界でも、困難な時代の中で「控えめ」な印象が好まれる。ファッションの世界に慎みと分別が戻ってきた。「2009年は無地風のデザインが増え、チェックやストライプもソフトになっています。例えば、”Lifestyle” (ライフスタイル) コレクションが良い例です。36種類のスーツ地パターン、スーパー120’s、スーパー130’s、ウール&シルクといった多様な材質で、さまざま需要に対応する幅広いテイストをカバーしていますが、2009年のすべてのデザインに共通するのは「節度のあるクールさ」です。」

思慮深さの時代

「今は細めのストライプが求められています。定番のスーツ地では5mm幅前後のストライプが多く、2~3年前までは間隔が1センチ以上ありました。”Eton” (イートン) などの主要コレクションでは、2009年にはスーパー130’sで92種類以上のデザインを用意していますが、ストライプやチェックがとてもソフトになっています。モヘアでもフレッシュでソフトな無地が増えています。しかし、何と言ってもこのトレンドを一番よく物語るのが、”Romance” (ロマンス) ではないでしょうか?31種類のデザインを揃えた100%ウーステッド・スパンカシミヤのジャケット地で、高級化志向に対応したものです。ファンシーなジャケット地ですが、チェック柄はソフトで、繊細なロマンチックカラーを用い、派手すぎることはありません。2009年はカジュアル、快適さ、ソフトさ、高級感がテーマですが、思慮深さを感じさせます。」 カットとカラー

2009年スキャバルの生地はどんな風にカットされる?販売及び製品部門ディレクター、Olivier Vander Slock (オリヴィエ・ヴァンダー・スロック) が新作コレクションを紹介する。

2009年はよりスリムに

男性たちはフィットネスクラブで体を絞り、その成果を披露したいと思っている。2009年にはタイトフィットのシルエットが継続する。ジャケットは丈の短いシングルベンツで、ラペルも細くなり、全体的に細身である。細い袖は袖山が高く、ウエスト位置は低く、細身で縦長のラインを強調する。ネクタイも中心ラインで数センチ細くなった。この傾向はパンツも同じで、ウエスト位置が低く、脚部分も細身になっている。2009年のお洒落な男性のための、より若々しく、シャープでフィットしたルックス。

4つのテーマ

絹や麻や綿をウールにブレンドするテーマは、新作コレクションにリラックスした雰囲気を醸し出す。コンテンポラリーで快適なムードの中に、軽やかさと高級感が感じられる。SUNNY、AFRICA、TRAVEL、OCEANの4つのテーマが集まってスキャバル・コレクションを盛り上げる。

SUNNY

今シーズン最大のテーマ。白、グレー、ライトブルー、ベージュに明るくソフトなイエローを組み合わせたクールで都会的な雰囲気を持つ。上品なヘリンボーンやオーガニックヤーンの自然な質感を組み合わせた無地の軽量生地で、クールで都会的な感覚のさりげない今どき感を表現。

AFRICA

第二のテーマは、明るい砂色と木の深みのあるブラウンなど、アフリカのコントラストに焦点を当てた。生地は上品で柔らかく少し玉虫色がかっている。リネンのドライな感触をカシミヤ、シルク、コットンのブレンドで和らげた。独創性や個性を重んじるスタイルを好む男性のためのニュー・ボヘミアン風のスマートなスーツ。

TRAVEL

第3のテーマは伝統的なグレーにグリーンとライラックを合わせ、パープルをきかせた最新のトレンドを表現。職人技による植物繊維とハイテク糸のブレンドにより、洗練された同系色のグラデーションや、明暗をつけたコントラストが生まれる。着心地のよい最高品質のトラベルスーツを求めるビジネスマン向け。

OCEAN

ブルーに貝殻のオレンジと白を添えた、海から発想を得たテーマ。中心となるのは、仕上げ処理した清潔感のあるギャバジンで、シンプルなストライプと、同系色で微妙に変化をつけたデザインが中心。シックでエレガントなこのテーマは、陽のふりそそぐ明るいカリフォルニアをイメージした、新感覚のラグジュアリー・カジュアルルックを提案。 春夏のスターたち

“Lapis Lazuli” (ラピスラズリ) :このクラシックな最高級品は14種類のブルー・オン・ブルーのスーツ地で構成される。いかにしてスキャバルが技術ノウハウと、長い歴史を誇る伝統的なクラフツマンシップを見事に融合させているかを示す見本のようなコレクション。青色の貴石ラピスラズリは6000年以上にわたり採掘され珍重されてきた。メソポタミア、エジプト、ペルシャ、ギリシア、ローマの貴族や支配層は、精力増強、免疫や知力の向上など、この石の治療効果に期待した。スキャバルは、この半貴

石の非常に細かい粒子をスーパー150’sウールに織り込む技術を開発した。自然な光沢と高級感が魅力である。高い品質…そして愛も追い求める男性向け。

“Acapulco” (アカプルコ) :高級化カジュアルウェアの最先端を行く生地。リネンにソフトなカシミヤとシルクをブレンドしている。カラーはナチュラルホワイト、ベージュ、ブラウン、パステルブルー、サーモンピンク、グレー。ストライプ、チェック、無地のジャケットデザインは週末の洗練されたアイテムになる。

“Mohair Collection” (モヘア・コレクション) :2009年には定評ある、”Monterey Bay” (モントレー・ベイ) と”Paloma Bay” (パロマ・ベイ) に2種類の新モヘア生地を追加。”Canne” (カンヌ) はキッドモヘアにリネンとシルクをブレンドし、新作の英国製60%キッドモヘアはサマースーツをひときわ洗練させる。4種類のモヘアはどれも肌触りが涼しく軽量で快適。真の高級感を味わうことができる。

68

海の向こうのスキャバル

カプリ島のSartoria Caprise

Bespokenの本号のテーマは航海

カプリ島の海岸沿いでブティックを営むスキャバルのクライアント、 Roberto Russo (ロベルト・ルッソ) を取り上げる

まず、カプリ島のアクアビバ通りから歩き始める。ウンベルト一世広場のかの有名な時計塔の下へ。有名なピアツェッタ(小広場)は、世界で最も心地良い青天井の居間と言われる。ヴィットリオ・エマニュエーレ通りの円弧の下を更に進み、左に折れるとカマレーレ通りに出る。そうすると、世界で有数のショッピング街を歩いたことになる。また、彼が営む全34店のうち15店を通り過ぎたことになる。しかし、彼は「我々が100%所有しているのではない」と言う。この中には超一流店Sartoria Capreseと彼のレストランEdode(ギリシア語で「一人前の食事」の意)が含まれる。「メニューはすべて地元の最高の食材を集めています。最高の魚、最高のチーズ、最高のパスタ、、、」。カプリの町は、島の北にあるマリーナ・グランデと南のマリーナ・ピコラを隔てる丘の緩斜面にある。カマレーレ通りから200~300m歩くと海岸に出る。

時間が足りない

ルッソ氏とのインタビューの間も金融危機は膨らむばかりだった。「我が社は急成長しているため、時として状況が複雑化します。1日48時間あればと思う。店を一つだけ持つか、或いは農場を経営して土地を耕し、魚をとる方がいいかも知れない。宿屋を営むとか。でも、それには来世を待つよりほかないかな。」 このような言葉が、カプリ島の「ファッションの教祖」とか「小売業界の大物」、「テニス王」と呼ばれる温厚で人当たりのよいビジネスマンから発せられようとは!乙女座の彼は細かいことによく気がつき、干支である「戌」はセールスマンとしての成功を暗示している。スキャバルの生地への愛着が強いのは、最高級のシルクとウールを生産した島の織屋の血筋によるものか?先代が1983年に亡くなった後、弱冠25才のロベルトが、父親が経営していた高級紳士婦人服店を受け継いだ。本格的な仕事になるに

は数年がかかったが、一旦事業を始めると、人懐っこい黒い瞳で人を惹きつける笑みを湛えた、長身で頭のはげた若者を誰も止めることはできなかった。

ファミリーの財産

1922年当時彼の父親が所有していた店は1868年創業。食品と衣料の両方を販売していた。ロベルト・ルッソは最初にファッション帝国を築いたが、それに飽き足らず、4年前に「最高のハム、最高のサラミ、最高のチーズ」を販売する食料品店も入手した。彼の上品なクライアントたちは、自分のスーツがテーラーの手によって仕上がっていく様を見に、ヨットから降りた後ゆったりとした足取りで、Sartoria Capreseによく立ち寄る。そんな時Robertoは店からワインとモツァレラチーズを持って来させる。Sartoria Capreseはまさに高級ブティックである。心地良いアトリエ風の部屋は、日除けのある窓からは小広場を望むことができ、部屋の中にはイタリアの貴重な骨董品が置かれている。よく知っている人はテーラーに会いにここまでやってくる。「すべてが手作りの正真正銘の紳士と婦人の誂え服を販売しております。これは弊社事業の5%に過ぎませんが、大変重要です。顧客は世界の最高級の服地の中から、着ていることを感じさせないような最高の生地を選ぶことができます。服を着ているという実感がないのだけれども、すばらしく素敵に着こなしている。それが本物の贅沢です。」 そんなSartoria Capreseでも顧客に対応するのが難しい場面もある。2007年7月にはサウジの皇太子が、服を誂えるために、大勢のボディガードに囲まれて来店した。「問題は彼の体重でした。185kgの巨体です。採寸する時、普通はメジャー1個で事足ります。50センチ足らなかったので、メジャーを2個使いましたよ。」

テニスのプロ

ルッソ氏が8才の頃、島にはスポーツがたった二つしかなかった。サッカーとテニスである。彼が70年の歴史を持つ疲弊したテニスクラブを買収しCapri Sport Academyを2002年に設立したとき、5年のうちに彼のチームがイタリアの全国大会で優勝するとは夢にも思わなかった。「私はサッカーのビジネス原則をテニスに応用しただけ。根気よく続ける粘り、インスピレーション、才能は勿論大切だが、組織力と管理能力が何よりも重要だ」と言う。彼はまた、ヨットクラブ・カプリの副社長として「ローレックス・カプリ・セーリング」ウィークを共同で創設し、地中海レースのシーズン直前に世界各地からヨット選手が集結する。彼が、カプリ島に町の管理者が必要なら、彼自身がその候補に名乗りを上げるつもりなのだろうか。「私には予期未来が待っていると期待している。私は一人っ子で、結婚し、二人の娘がいる。15才のジョージアと11才のビクトリア。カプリ島は子供を育てるには格好の場所。夜はドアを開けたままで寝ることができるし、子供たちも単独で通学できる。過去30年にわたり、島はその潜在力の10分の1ほどしか発揮していません。歴史、観光、テニス、セーリングなど、町には無限の資源がある。カプリ島は全世界に知られ、全世界から人々が集まるのです。」カプリ島はまずフェニキア人やギリシア人に支配され、その後ローマの皇帝たちがやって来た。別の島と交換してカプリ島を手に入れたアウグストゥス帝、カプリ島に12の別荘を建てたティベリウス帝。2000年を経て、世代を経るごとに有名人の名前は増え続ける。ビクトリア女王、オスカー・ワイルド、サマセット・モーム、ノーマン・ダグラス、トーマス・マン、歌手のグレーシー・フィールズ、女優のソフィア・ローレンやジーナ・ロロブリジーダ、オナシスとジャッキー、グレース・ケリー、ロベルト・ロッセリーニ、イングリット・バーグマンなどなど。今日のジェット族のうちルッソの顧客はどれほどいるのだろうか。ロベルトはただ微笑むだけ。有名人顧客のリストは彼が秘密厳守しているのである。

72

スキャバルのネットワーク

お似合いです、マダム!

ジュリア・クリステンセンが13年前にルーマニアを訪れた時、自分がルーマニア初の「スキャバリスト」になろうとは想像だにしなかった。個性溢れる顧客が事業の冒険を語る。 ラトビアのリガでロシア人の父母から生まれたジュリア・クリステンセン(彼女が何ヶ国語を話すか想像できますか?)は、デンマーク人の前夫の名字を名乗っている。ブリュッセルにあるスキャバル本社では、Stil European Impexが欧州でも有数の生

産的な小売業者であるばかりでなく、クリステンセンが2年毎に新規事業を始めずにいられないことを知っていた。スキャバルの製品部門ディレクターと東ヨーロッパ販売マネージャーを兼任するMatthias Rollmann (マティアス・ロールマン) は次のように説明する。「彼女はまさに逸材。常に新しいアイデアを生み出し、押しが強く、力強い。」ひらめきの才能に恵まれて成功した強いビジネスウーマンであるばかりでなく、彼女は独力で小売の帝国を築き上げた。彼女が自国のみならず欧州全体でユニークな存在でありうるのは、美と品質を深く理解し、これに寛容さを織り混ぜ、商業的に強力に推進させたからだ。

民主主義的な教育

ルーマニアを訪れた後、クリステンセンは友人を通してスキャバルを知り、高級セクターの将来像を描くようになった。1989年の一連の事件ののち、ルーマニアがEUに加盟するずっと前に、事業家の視野と商才のある彼女は迅速に行動を起こした。ドナウ川に新たに誕生した民主主義国の将来について彼女は思索した。「ルーマニアは貧しい国だ。政治家、ビジネスマン、弁護士、エンジニアなど我が社の顧客であるような金持ちと、貧困にあえぐ大多数の国民との間には大きな隔たりがある。国民が民主主義を受け入れる、という問題ではなくて、国民が自ら民主主義を学ばなければならないのです。」 「スキャバルの最初の1~3年はまさに学習曲線でした。当初はブリュッセルのスキャバル本社に通ったものです。でも、誂え高級服の魅力を知ってからは、6年間数字が倍増した。ここ4年間は年率30%で成長しています。」

クリステンセンの最近のプロジェクトは、2年前にスキャバルの事業と仕入のために買っていたCalea Victorieiの彼女の別荘を売却し、Lascar Catargiu Boulevardのビジネス街にある19世紀の立派な別荘を500万ユーロで購入することだった。イタリア人の建築家でありインテリア装飾家でもあるElena Busato (エレーナ・ブサト) を起用して、更に100万ユーロを投じて2008年9月に新店舗をオープンした。この店の1階と2階にはスキャバルの完全なコレクションを置き、更に売上を伸ばすために他の高級ブランドや製品を扱っている。更に、最近、シャンパンとキャビアを楽しめるバーを店舗内に設置して、落ち着いた洗練された環境で取引ができるようにした。また、今後、上の階に、高級な暮らしのための完璧なコンサルタント業務をおこなうデザインスタジオを開設する。ブサトがデザインを掌握する一方で、クリステンセンは彼女が得意とする商業展開を引き受ける。クリステンセンは「ルーマニア人がまともな服を買い、やがて高価な服を着るようになり、更に室内を模様替えする」時代がやってくると信じている。店舗改装で二人の女性が情熱を分かち合って以来、事業パートナーとしての結束を強めている。

ビスポークのサービス クリステンセンは約300名の誂え服(ビスポーク)顧客を世話している。スキャバルの既製服及び特別品の技術マネージャーである、Mario Arcuri (マリオ・アルクーリ) は、年2回ブカレストを訪れるが、立ち上げ時の逸話をよく覚えている。「最重要人物がボディガードを伴って来店したことがありました。私はコレクションや様々な生地の品質を示しながら、このスーツはビジネス用、これは観劇用、あれは週末用、軽いコートはタウン用、これは郊外へでかける時に~などと説明しました。最終的に40着もの生地がテーブルに積まれ、私はお客様が選ばれるのを待っていました。お客様は私を向いて「ダ」、つまり、「はい」と言われた。私は彼の後ろに立っていたクリステンセンを見ました。私が戸惑っているのに気付いた彼女は、「ここではこんな風なの」と言うようにウィンクしてきました。少なくとも5、6着のスーツがあった。クリステンセンはルーマニア随一の金持ち顧客についても逸話を披露してく

れた。私は「どうすれば幸せにして差し上げられるでしょう?買うお気持ちがないモノを欲しいと思わせるのは至難の技です。」と言うのです。だから、私がミラノのショーに年に数回行くとき、世界に800足しかない手縫いのクロコダイルの靴の情報を得たとすると、何足かを彼のために仕入れておくのです。彼は気に入りました。」彼女はまた、ややトラッドな志向の顧客を熱心に教育している。彼らから注文を受けると、その服に合わせる周辺アイテムについて助言をおこなう。「本来はお客様自身でなさるべきことですが、私はそれを無償でして差し上げるのです。お客様は助言に心を開いてくださるようになり、最近はファンシーなものにも興味を持たれるようになりました。」

74

2009-2010年秋冬トレンド

何百もの高級生地、デザイン、カラー

スキャバルのシーズン・コレクションは、古いものが去り、新しいものが登場するといった、

ニューイヤーパーティーのようなものではない

むしろ、何百種類もの高級生地、デザイン、カラーが進化を続けている

もちろん、スタイルのトレンドや、市場動向、生地や製造プロセスの技術革新により新ラインを登場させたり、旧ラインを撤退させたりすることはある。ただし、目的はただ一つ。世界中の違いがわかる顧客に彼らが求めるそれぞれの選択肢と品質を提供すること。スキャバルの生地デザイナーであるマイケル・デイは6つの新ラインを取り上げ、いかに2009⁄2010年秋冬コレクションが充実したものであるかを説明する。

「”Mandarin” (マンダリン) は冬向けの柔らかく高級感のあるウール&シルク混のスーツ地。もともと夏に人気のある生地ですが、暖冬の影響もあり、高い需要に応えて冬物もつくりました。”Essentials” (エッセンシャルズ) は美しくソフトなスーパー150’sウールを使った新作のジャケット地。カシミヤを除けば、これほど細番手のウールは通常ジャケット地にされません。真の贅沢品といえます。”Toison d’Or” (トワソン・ドール) は最高級のスーパー150’sを使ったスーツ地。セミファンシーデザインをいくつか用意しました。近づいて見れば柄の個性がよくわかりますが、遠目には目立ちません。凝ったデザインワークを使った高級品です。」 「スキャバルは来冬にスーパー100’sとカシミヤを使ったウールのオーバーコート地を復活させます。誂えのコートが復活の兆しを見せているトレンドを感じているからです。今日主流の細身スーツの影響で、よりフィットしたコートが求められています。防寒用のフード付きジャケットは放り出して・・・ “Ascona” (アスコナ) と名づけたコットン100%のパンツ地もあります。ヘビーウェイトの冬用コットンのカジュアルウェアです。33品番のうちほとんどが無地ですが、オレンジやパープルなどのファンシーカラーもあります。セーターと合わせたりしてリラックスした雰囲気で気楽に着られる素材です。

”Triple A” (トリプルA) は以前あったスキャバルの人気商品で、新作コレクションに復活させた、セミクラシックのスーパー120’sウール。その昔、「スーパー」という名称が使われる前、ウールはA、AA、AAAという風に等級付けられていました。このクオリティは最高級品なので “Triple A” と名づけました。以上が2009⁄2010年秋冬の主なラインです。定評あるスキャバルのものづくりに対する姿勢から生まれる、品質、クラフツマンシップ、ディテールへのこだわりは新コレクションでも変わりありません。

76

過去–現在–未来

ダリのインスピレーション

Bespokenは、スキャバルと The London College of Fashion (ロンドン・ファッションカレッジ) が取り組む、

サルバドール・ダリの絵画を基にした大きなプロジェクトをプレビューする

20世紀には数々の偉大な人物が登場したが、美術界に目を向けるとスペイン人の画家サルバドール・ダリが傑出している。独創的で時には奇抜な作品を生み出した想像力とスタイルは世界に強い印象を与え、現代を生きる多くの人々に影響を与えてきた。

ダリとスキャバル

1971年、スキャバルはダリに、彼が想像する21世紀の人類とファッションを複数の絵にしてもらった。彼独特のアプローチによるその絵は、見事に誂えられたスーツを着たダンディとも言える人物像に象徴される。これが2004年にスキャバルが発表した生地コレクションのインスピレーションになっている。これらの生地は1枚1枚の絵画を直接的に解釈したものであり、一見しただけではクラシックに見えるが、よく見るとディテール、色使い、パターン、イレギュラーなストライプが他の伝統的なコレクションとは異なることがわかる。スキャバルはこれらの生地については贅沢な生地作りをしたが、ダリの創作の解釈と表現を越えないように配慮した。その結果、スキャバルの品質とスタイルを守りながら、非常に個性的な生地が生まれ成功した。

新しい解釈

21世紀に入り、スキャバルとダリの関係も進展する。今後の生地デザインの新たなインスピレーションを求めて、スキャバルはロンドン・ファッションカレッジと提携した。この提携により大学の教員と学生は各種媒体を通してダリの絵画を解釈する作業をおこなう。スキャバルも大学も伝統的なビスポーク・テーラーリングを完全な形で表現するために、別の3分野を含めることを望んだ。 その結果、メンズウェア、演劇、デジタルプリントが追加された。 スキャバルを代表して、セールス・ディレクター、Neil Hart (ニール・ハート) は「ダリ・プロジェクトでロンドン・ファッション大学とパートナーシップを組んだのはスキャバルにとって喜ばしいこと。多様な分野を通して新たにスキャバルの生地を活用できる作業が完成するのを心待ちにしています。」4分野から約20名の学生とスタッフが彼等の作品中にスキャバル・コレクションの生地を使う機会を与えられる。彼等は、ダリの絵画からインスピレーションを得るという核心を逸脱しない範囲内で自由にデザインしコンセプトを開発できる。この創造の自由がロンドン・ファッション大学をプロジェクトに駆り立てる推進力となった。ダリは彼の人生のあらゆる部分において奔放な表現を楽しんだ。その点も学生とスタッフのプロジェクト参加を後押した。

同大学のプログラム・テーラーリング・技術ディレクター、Alan Cannon-Jones (アラン・キャノン-ジョンズ) は次のように説明する。「ダリが描いた12枚の絵を基にして服を作るプロジェクトに最優秀の学生を集めました。ダリのように独創的で想像性に富む作品を制限なしに創作するよう、学生に指示しています。」

複数の分野から考察した学生の作品は2009年の初めに完成する予定で、完成した作品は2009年後半にオックスフォード・サーカスにあるロンドン・ファッションカレッジの展示室に展示する予定を組んでいるところ。更に、国際的な市場に展示して、ダリとスキャバルの交友からインスピレーションを得た、ロンドン・ファッション大学との連携作品を一般公開する可能性もある。Bespoken次号ではダリの12作品を独占公開する。

77

出店情報

ムンバイ店

インドにスキャバルの既製服とアクセサリーを扱う店がオープン。ボンベイのKingsでは、スキャバルの生地を展示するため、サヴィル・ロウの旗艦店をモデルにした別セクションを設けた。スキャバルはインドでは長年事業展開しており、主要都市に「インショップ」を計画している。

Kings
Meghdoot 197,Linking road
Bandra, Bombay
India
T. +91 26422882-5886

カールシュタット「プレミアム・グループ」のスキャバル店

3年前にオープンした、ベルリンKaDeWeにあるカールシュタットの旗艦店の成功に続き、スキャバルがミュンヘンに進出。プレミアム・グループのOberpollinger店は全面改装を終え、紳士と婦人ファッションの超一流ラベルを扱う。誂え服で独自の世界を持つスキャバルは、サヴィル・ロウのフラッグシップショップのデザインをモデルにして現代的なスタイルとテーラードの伝統を融合させた。

Oberpollinger
Neuhauser Strasse, 18
80331 Munchen
Germany
T. +49(0)89 290 240 40

ジャカルタ

インドネシアのパートナーAlta Modaとの提携でジャカルタ店を最近オープンした。ジャカルタの高級モールOne Pacific Palace内にあり、店内デザインはサヴィル・ロウのフラッグシップショップをモデルにしている。

Alta Moda Boutique
One Pacific Place Mall Unit 1-52
JL Jend. Sudirman Kav 52-53, (SCBD), Kebayoran
Baru
Jakarta Selaton
Indonesia
T. +62 21 51402787-89

  • CONTACT
  • NEWSLETTER
  • YOUR HARD COPY
  • FLIPTHRU
    • Summer 13 - nº12
      • English
    • Winter 12-13 - nº11
      • English
      • Chinese
      • Russian
    • Summer 12 - nº10
      • English
      • Korean
      • Chinese
      • Russian
    • Winter 11-12 - nº9
    • Summer 11 - nº8
      • English
      • Russian
    • Winter 10-11 - nº7
    • Summer 10 - nº6
    • Winter 09-10 - nº5
    • Summer 09 - nº4
    • Winter 08-09 - nº3
    • Summer 08 - nº2
    • Winter 07-08 - nº1
  • iPAD
  • FACEBOOK
  • HOME
  • ° SCABAL.COM